読売新聞に記事が掲載されました

4月12日(土)の読売新聞朝刊に、弊社専務取締役・池林の記事が掲載されました。

yomiuri

(記事全文)

訪問看護師「家で」支える

急性期病床減へ ステーション補強や人材育成

看護師が患者の自宅を定期的に訪れて、体調チェックなどをする訪問看護の重要性が増している。国が緊急性の高い患者を受け入れる「急性期病床」を減らすなどし、救急治療を終えた患者の早期退院を促す方針を決めたからだ。訪問看護師を支援する取り組みを進める地域もある。(岡本久美子)

「血圧を測りましょうか」。堺市の久嶋正秋さん(64)の自宅で、同市の「りゅうじん訪問看護ステーション」の看護師、池林清美さん(42)が久嶋さんに話しかける。

久嶋さんは1月、甲状腺の悪性リンパ腫のため、大阪市の大阪赤十字病院で気管を切開して喉に管を通す手術を受けた。3月下旬に退院し、通院治療を続けながら、訪問看護を週1回利用。体調管理や、喉のガーゼ交換をしてもらっている。

訪問看護ステーションは、看護師らが常駐し、医療、介護サービスを提供する事業所。久嶋さんは、同院地域医療連携センターに紹介してもらった。患者の意思や主治医の治療方針などを検討し、自宅療養か転院かを調整する部署だ。自宅療養なら地域のステーションや、往診してくれる医師を探してつなぐ。

同センターの看護師谷口和子さんは「急変時に備えて所在地を絞ったり、家族を含めた精神的な支援がどの程度いるかを考慮したりして必要なサービスを探します」と説明する。

久嶋さんは「看護師さんが守ってくれるので家にいても安心」と話す。

終末期の患者に対応するステーションもある。

大阪府門真市内の女性(53)は昨年6月、乳がんだった母親を実家でみとった。母親は、看護師の吉川清美さんが代表を務める大阪市の「ぶらっと」の訪問看護を受けていた。女性は「患部の手当てなど家族では手に負えないことに対応してもらえ、心強かった」という。

大阪市内の女性(71)も7年前、吉川さんの訪問看護を受け丶胃がんの父親を最期まで家で世話した。「父を少しでも楽にしてあげたかった。体のむくみを取るにはマッサージがいい、といった助言が役立った」と振り返る。

厚生労働省は今年度の診療報酬改定で、居宅介護支援事業所の併設や、24時間体制などの要件を満たすステーションを、「機能強化型」として診療報酬を加算。規模が大きく、重症患者の受け入れにも積極的なステーションの評価を高くした。

同時に、急性期病床36万床を、2015年度までに9万床減らす方針も示しており、療養の場を病院から地域に移す流れを加速させる。

同省のまとめでは、ステーション数は09年まで横ばいだったが、10年からは微増に転じ、13年は前年より470か所多い6,519か所。ただ、訪問看護師は12年末時点で全国に約3万3,000人と、看護師全体の2%にとどまる。

こうした中、ステーション補強に取り組む地域もある。

大阪府看護協会は11年度から、1年目と中堅の訪問看護師を対象にした研修を実施。昨年度からは、ステーションの管理者向けに、関係法令などを学ぶ研修も始めた。会長の伊藤ヒロコさんは「潜在看護師の掘り起こしも含め、訪問看護に関心のある人を増やし、単独では研修を行いづらい小規模ステーションの支援も進めたい」と話す。

香川県では、県看護協会がIT化などステーションの運営を支援するセンターを11年に設置。訪問看護師の相談に乗るサポートセンターも今月、県立保健医療大に開設された。

日本看護協会常任理事の斎藤訓子さんは「医療や介護が必要になっても家で暮らしたい人を支えるため、訪問看護は非常に重要。機能強化型のステーションが増え、そこで働く看護師も増えれば、地域に安定したサービスを提供でき、医療や介護の身近な相談先にもなる」と話している。